無呼吸症候群・いびき

SAS

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)とは7時間の睡眠中に10秒以上の無呼吸状態が30回以上起こる、また睡眠1時間あたりの無呼吸数や低呼吸数が5回以上起こる事を言います。

睡眠時無呼吸症候群は、成人の場合、高血圧や心筋梗塞・不整脈などの心疾患や脳梗塞、糖尿病などの生活習慣病や、認知症、うつ病、逆流性症候群などの合併症のリスクを高めます。子供の場合では、発育障害、注意欠如、多動性障害などを併発するリスクが高まります。

睡眠時無呼吸症候群は息が途中で止まるため、脳に十分な酸素がいかず、酸欠の状態になっているため不眠の状態になります。酸欠の状態で眠っていると、十分な休息がとれません。そのために健康被害は甚大で、中等症や重症の方の場合、8年後の生存率が約6割になってしまうことが明らかになっています。

無呼吸症候群のチェックリスト

快眠できていないため、以下のような症状が現れます。

寝ているとき

  • いびきをかく
  • いびきが止まり、大きな呼吸とともに再びいびきをかき始める
  • 呼吸が止まる
  • 呼吸が乱れる、息苦しさを感じる
  • むせる
  • 何度も目が覚める(トイレに起きる)
  • 寝汗をかく

起きたとき

  • 口が渇いている
  • 頭が痛い、ズキズキする
  • 熟睡感がない
  • すっきり起きられない
  • 身体が重いと感じる

起きているとき

  • 強い眠気がある
  • だるさ、倦怠感がある
  • 集中力が続かない
  • 会議中にも寝てしまう
  • いつも疲労感がある

以上に当てはまる方は、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。

なりやすいのはこんな方

肥満型の方

太ることで偏桃体が大きくなり、気道が狭まるため

舌が顎の中に収まり切らない方

顎に収まりきらない舌が、気道をふさぐため

鼻呼吸ができない方

口呼吸にくらべ、気道のまわりの粘膜性のヒダ部分(軟口蓋)が落ち込みやすくなるため

痩せていても安心は禁物

無呼吸症候群は、太った男性がかかる病気というイメージがあるかもしれませんが、太っていなくても、痩せていても、女性でもかかる病気です。 それは、顔や首まわりの形態的特徴がその発症と強く関連するためです。

無呼吸症候群になりやすい形態的特徴

  • 首が短い
  • 首が太い、まわりに脂肪がついている
  • 下顎が小さい、小顔
  • 下顎が後方に引っ込んでいる
  • 歯並びが悪い
  • 舌や舌の付け根が大きい

無呼吸症候群の治療

いびきや睡眠時無呼吸症候群は、顎や舌が気道(呼吸の通り道)を一部または完全に塞いでしまうことで起きる症状です。
睡眠時無呼吸症候群の治療は、重症度に応じて治療方法が選択されます。 軽症から中等症の場合には、主に「マウスピース」が用いられます。睡眠中に装着することで、気道を確保します。 中等症から重症の場合は、主に「CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸)療法」が行われます。CPAP療法は医科で行うことができる治療ですが、装置が大きく持ち運びが難しいことや大掛かりな対症療法となります。

当院では、下顎を前方に突き出した状態で、上下の顎を固定して気道を確保する、マウスピース(スリープスプリント)による治療を行っています。
この方法は導入がしやすく、また身体に負担が少なく、装着するだけでかなりのいびき改善効果が認められます。 (歯ぎしり改善用やスポーツ用のマウスピースとは異なる形状をしています。)

お口の中の状態(重度の歯周病、歯の本数など)や鼻などに病気がある場合は、先にそちらの治療を行う場合があります。

マウスピース(スリープスプリント)の種類について

保険適応の上下一体型マウスピース

診断書がある場合は、保険適応となります。

保険適応の上下一体型マウスピース

メリット

  • 保険適用されるため、安価に製作可能

デメリット

上下が固定されているため、
  • 下顎の位置の微調整が出来ない
  • 使用により不快感や顎関節を痛める時がある
  • 嚥下や咳がうまくできない

保険適応外の上下分離型マウスピース

保険適応外の上下分離型マウスピース

メリット

  • 下顎の位置の微調整が出来るため、長期使用しても適切な状況で使用できる
  • 下顎の位置の微調整が出来るため、長期使用しても適切な状況で使用できる
  • 上下分離で顎を動かせるため、顎関節に負担が少ない。嚥下や咳ができる

デメリット

  • 保険適応外のため、製作費がやや高額になる

※保険適応について
診断書を持参の場合のみ保険適用となります。内科・呼吸器内科・耳鼻咽喉科・睡眠センターなどで検査を受診し「睡眠時無呼吸症」と診断された方は、検査を受けた医院で歯科医院への診断書を書いてもらって下さい。